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注意しなければいけないのは、大規模臨床試験の結果だけで ARBやACE阻害薬がすべてそういう効果があると拡大解釈せずに、 それに使われた薬固有のものとしてまず理解されるべきであろうと考えます。 テルミサルタンは、最近、糖や脂質代謝をつかさどる 遺伝子の発現をコントロールするレセプター(受容体)「PPARγ」を 刺激する働きもあることがわかり、心筋梗塞などの抑制作用にも独特の作用を 及ぼしているとも考えられるのです。
いわゆる臨床試験全般の中で、ONTARGET試験をどう位置づけるか
循環器病の権威、米デューク大学のザウ学長が提唱している 心血管疾患の連鎖を示す概念図があります。 心血管疾患の始まりは高血圧や糖尿病、 最近ではメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)も加えられますが、 動脈硬化や心肥大へと進み、心筋梗塞・脳卒中に至ります。 生き永らえた場合でも、脳や心臓を修復しようとして 逆に状態を悪化させてしまうねじれ現象(リモデリング)も起き、 心不全・脳卒中などの再発を来し、脳障害・認知症などを 経て最終的には患者の命を奪ってしまうという連鎖です。 こうした連鎖のすべてにわたって、 悪玉ホルモンのレニン・アンジオテンシン系が関与していることがわかっており、 この連鎖を断つにも、レニン・アンジオテンシン系の阻害作用による効果が立証されつつあるわけです。 ARBにとっては、今回の臨床試験は、非常に大きな意味があったとも受け取れます。 わが国の高血圧の日常診療にとっても、正しさが是認される形となり、 安堵(あんど)感が広がっていると思われるのです。